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忘れないきもち [エッセイ]

 

5月12日午前6時57分 小さな産院で体重4060g身長58cmの男の子が産まれました。先生も、助産婦さんや看護師さんたちも大きな男の子にみんなびっくり。

 退院してからお母さんの実家で1ヶ月過ごし・・・家に戻ってきました。

その頃には体重は6キロを超えていて~抱っこも大変でした。

初めての子供で何から何まで初めてで・・・夜中に何度も泣く男の子にお母さんはちょと疲れていました・・・。

大きな子だったのでおっぱいは飲ませても飲ませても足りなくて~その後ミルクを飲んでも~すぐに泣いて~お母さんは昼間も夜も全然眠れませんでした。

どうしてこんなに飲んでばかりいるの?どうして何度も泣くの?どうして?お母さんは眠れない事、泣く事、飲む事・・・男の子のペースが他の子と一緒じゃない事、何もかも違う事に不安になり、落ち込む事も多くなりました・・・

お父さんは一緒に夜中に起きておっぱいが足りない時にミルクを作ったり、夜寝るまで抱っこしたり・・・お母さんを手伝っていましたが昼間は仕事もあるし、お母さんと一緒に寝ないで見ることは出来ません・・・でも、お母さんが疲れきっていたので心配していました・・・。 

お父さんは、お母さんが色々考えすぎて、疲れすぎて、どうかしちゃうんじゃないかと不安になりました・・・・もしかしたら・・・と最悪の事も考えてしまうほどお母さんは疲れていたのです。

お母さんはもう疲れきっていましたが・・・なんとか男の子のペースをつかみかけていました、おっぱいも、ミルクも、おむつも・・・泣くのも・・・この子はこう言うリズムでこんなペースなのかな?と。

その頃に、何だかいつもなら寝てくれるのに・・・ぐっすり寝たりしてくれなくなって、ちょっとの事でも泣きだしてなかなか泣き止んでくれなくなりました。

その日から、生まれた病院、小児科・・・何件かを回りましたが・・・熱もないし、不機嫌かもしれないけど~異常はありませんよ・・・と言われるばかりでした。

でも何か違う、何かおかしい・・・お母さんは納得しなかったのですがどうして良いのかわからずに1週間が過ぎる頃・・・やっとゆっくりお昼ねしてくれました・・・

お昼寝から起きて泣き出す男の子・・・お母さんは熱があることに気付きました。生後1ヵ月半で発熱は普通なら無い事・・・でもそれがどれだけ大変な事なのか初めての子だったお母さんには想像できませんでした・・・

夜中にでも救急で見てくれる当番病院や休日夜間診療所、があることも知らなかったのです・・・

お母さんは朝まで男の子を抱っこし続けて、頭を冷やしたり、できるだけ、飲んでくれるだけ、ミルクを飲ませたりしました。

朝になって、大きな病院へ行きました・・・待合室に待っている沢山の子の順番をすべて飛ばしてお医者さんは男の子を診ました。

お父さんお母さんはしばらく時間が経って呼ばれました・・・

先生は「生後1ヵ月半で高熱が出るのは髄膜炎か脳炎・・・最悪の時の覚悟をして置いてください」・・・と。

髄膜炎の検査のために男の子の腰には髄液をとった跡があって、点滴、酸素沢山の線につながれて・・・それも痛々しかった。

保育器の中で泣き叫ぶ男の子は「お母さん助けて」と泣いてるみたいでお母さんは涙が出ました・・・これじゃ抱っこも出来ない、頭もなでられない・・・

大きな男の子には保育器が小さいみたいで泣き叫んで暴れるたびに手や足が保育器の壁にガンガンぶつかってそれも痛いだろうな・・・とお母さんの心を痛ませました・・・。

何も出来ずに保育器の前で立ちつくしただ泣くお母さんにお父さんは強く手を握って「こいつは絶対に大丈夫だから、絶対に良くなるから・・・」と自分にも言い聞かせるように言いました。

完全看護のその病院は・・・入院の準備だけを受け取るとお父さんとお母さんにもう帰る様に告げました。

お母さんは男の子に付いていたい気持ちと、泣き叫ぶ男の子を側で見て居たくない気持ちと・・・複雑でした。

お父さんはお母さんに面会時間に元気で男の子に会いに行ける様にちゃんと休むように言いました。

お母さんは眠っていても男の子の夢を見て何度も目が覚めました・・・寝ていても起きていても・・・裏の空き地で泣いてる子猫の泣き声が男の子の声に聞こえて涙が出ました。

自分が男の子の面倒を見るのに疲れた、つらい、ゆっくり寝たい・・・そう思っていたから病気になってしまったんじゃないか、元のように元気にならないんじゃないか、もしかしてこのまま神様が連れて行ってしまうんじゃないか、お母さんは自分のせいだと責めていました。

面会時間に会いに行っても見るのは泣いている所ばかりでした・・・。

脳炎でも髄膜炎でもないことが分かりました。 

何日かして熱も下がりました・・・色々検査も沢山しましたが・・・結局なぜ熱が出たのかは分からないままでした・・・。

やっと治ってきた頃・・・お医者さんは「このこは巨大児・・・大きな子は身体の一部が大きかったり内臓の片方が大きかったりしますから検査をしましょう。」と言いました。

お母さんはまた何か有ったらいけない・・・検査をしてもらおう・・・と思いました。

大きな 大学病院の先生が来てエコー検査・・・腎臓の片方が大きいかもしれない・・・今度は造影剤を入れて検査しましょう・・・造影剤を入れての検査は全身麻酔でした・・・

結局検査では何も異常がなかったし男の子は元気になりましたが・・・検査、検査で身体は針の後だらけになりました・・・。

何も無かったのだから良かった・・・と言われればそうかも知れないけど・・・お母さんは・・・検査も必要なかったのにかわいそうな事をしてしまったと・・・また自分を責めました。

それからも喘息で何度も入院、いろんな怪我・・・沢山の事がありました。

 

・・・あれから10年男の子は10歳になりました。

 

初めての子だった男の子は女の子と男の子のお兄ちゃんになりました。

子供は3人だけれどお父さんお母さんにとっては男の子に起こる出来事は今までもこれからも・・・みんな初めて。

3人それぞれの性格で言う事も行動もばらばらだから男の子の経験がすべて当てはまるわけじゃないけど男の子で経験した事が他の妹弟に役立っている。 

男の子には今までも、これからも、厳しかったり、我慢させたり、辛い時もあるかもしれない・・・お父さんお母さんがまだ未熟だから・・・

男の子には頼りないお父さんお母さんかも知れないけれど、男の子と一緒に成長して行けたら良いな、とお母さんは思っている。

10年前の病気の時の気持ちは忘れない・・・・。

一緒に痛かった、辛かった、寂しかった、不安だった・・・その気持ちは忘れないからね。

そして、生まれてきてくれて良かった、お父さんお母さんの子に生まれてきてくれてありがとう。

どんなに叱っても、喧嘩しても・・・これはずっと変わらない。

10年後・・・男の子は20歳・・・どんな初めてが待っていて・・・どんな風に成長して・・・どんな事をしているのか・・・そして、どんなお父さんお母さんになれているのか・・・今は楽しみ。 

今まで10年ありがとう、そしてこれからもこんなお父さんお母さんをよろしくね。

 


1月31日追記

いつもあんまり登場しないお兄ちゃん・・・言葉のやり取りも、対応の仕方も未だ私に余裕が無いからか・・・ゆとりを持って見てあげられなくて~

そう言う余裕の無さ・・・はここから始まっていて・・・いつも叱りすぎたり、言いすぎたり、やりすぎたり・・・してしまっていることに反省してます。

いつもそんななので・・・きっと本人はきついと思います。

「いつもごめんね」の気持ちを分かってくれたらな~と書きました。

ちょこちょこ書いていたので~最後はまとまり無く・・・読みづらいかもしれません。

反省しても~またいっぱいいっぱいの対応で・・・お兄ちゃんはこれからも大変かもしれません・・・

ちょっとかっこつけて~書いてますが・・・結構だめ母です。

こんなだめ母でも3人の子供によって母親として~ちょびっと成長してるかな?

こんな私でも3人育てられてるので~皆さんもっと子供を産んで~育てましょ~何とかなっちゃうもんです~的な・・・記事なのかもしれません・・・(苦笑)

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。

 


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maya

うわわわーん
ちょっと涙ぐんじゃった。。。ナンデダロウ。。。
by maya (2006-01-30 13:36) 

nyan

はるさん、ありがとう。
nyaは思います。
はるさんがしてあげたこと、想い、悩み、不安、願い、他にもたくさんのことが私に響いてくるのです。
というのも、そういったはるさんの姿が自分の母と重なるのです。
実は私の母は、ただ今ある病気の再発と戦っています。
気持ち的に弱くなっている姿を見ては、どうしたらよいものか・・・と私自身思い悩むこともしばしば。
しかし、はるさんのエッセイを読んでいて、体のそう丈夫ではなかった幼い私をいつでも支えてくれたのは母だったのだということを、改めて思うのです。
今度は私が支えていかなくては。
今までそう思わなかったかといえば、そういうわけではありませんが、少し気持が弱くなっていました。

素敵な、そして、いろんなこと気づかせてくれるエッセイで、読むことができてよかったです。
ありがとね、はるさん^^
by nyan (2006-01-30 13:40) 

斉藤ようこ_nina

なんだか…どんなコメントをしても陳腐に聞こえてしまうような気がして…言葉がでてきません。
どんな子も、ひとりひとり、愛されて生まれてくるんだなあ、と、それだけ。
by 斉藤ようこ_nina (2006-01-30 14:57) 

やはり、お母さんにとっては
一生、忘れられないね。
by (2006-01-30 16:29) 

beer

子育ては大変だと思います。
僕は子供いませんが、姉に子供が出来たときに、家族皆で手伝いました。
僕の親も僕も僕の姉も。。。
お風呂を入れるのを手伝ったり、おしめを換えるのを手伝ったり、ミルクを飲ませるのを手伝ったり、子供と一緒に寝る役をやったりと。。。
姉は凄く助かったと行ってました。
子供を育てるって物凄い労力がいると思います。
んーと。なんて言っていいのかわかりませんが、
はるさん素敵なお母さんだなと思います。
愛情があふれてる。
by beer (2006-01-30 18:15) 

アキオ

かんどうしたっ。。

これ、ずっと残したい記事になりますね。。
読ませてあげたい。。
by アキオ (2006-01-30 18:43) 

kyao

なんか…すごかった…言葉にならなかった…涙が出ました…。
教えてくれたはるさんと、元気になってくれた、おっきなおちびちゃんと、おちびちゃんの10年後にnice!を贈ります。
by kyao (2006-01-30 19:35) 

ケンケン

お母さんの愛情とお父さんの優しさが伝わって、ぐっときました。
これからの成長と優しく見守るはるさんと旦那さんにniceを贈ります。

ぼくの妹は、いまでこそりっぱに(?)成人していますが、生まれたときは、血液の赤血球が少ないと医者にいわれ、親、姉、親戚で心配したことを思い出しました。
by ケンケン (2006-01-30 23:45) 

はる

☆皆様、読んで下さってありがとうございます。

☆mayaさん  niceありがとうございます。
きっとお母さんを思い出したから・・・?

☆nyanさん niceありがとうございます。
とっても素敵なコメントありがとうございます。
お母さん、きっと気持ちは分かってくれてると思います。
naynちゃんにだけ素直な気持ちを見せてるのかも知れないし・・・
一緒に居てあげるだけでも母親は力をもらってると思うから・・・
病気に勝てるように~祈っています、そしてとっても嬉しかったです。

☆ひなぐまさん  niceありがとうございます。
そんな事無いですよ~ただ経験した事を書いただけ・・・な感じです。
この子が私を母親にしてくれたのだと・・・それだけのお話です。

☆こうちゃん  niceありがとうございます。
最初の気持ちなので子供達が大きくなっても忘れないでいたいです・・・。

☆beerさん  niceありがとうございます。
素敵なおじさんですね。
手伝ってくれる人が居ないわけじゃなかったんだけど~自分でこうじゃなきゃ・・・とか決め付けてる所があって・・・それ以上に大変だったから~あんまり良いスタートにならなかっただけで・・・。今はゆっくり見守る母が目標です・・・全然そうなれていませんが・・・。

☆あきおさん  niceありがとうございます。
ちょこちょこ書いていたら・・・変なまとまり無い~文章に。
読んでたみたいです・・・泣いてました。
「大変だったんだぞ~!」って言う気は無いですが、いつも初めてで余裕なくてごめんね~的記事です。

☆kyaoさん  niceありがとうございます。
子育て反省文のような記事です。
この時に元気になってくれた強い子で今本当に良かったな~って思ってます。
10年後~初めてで~想像できませんがもらったniceにふさわしい子になっててくれるといいです。

☆ケンケンさん  niceありがとうございます。
ありがとうございます、主人の協力も一応書いておかないともめますから(笑)妹さん大変だったんですね~本人が1番大変なんですけど、家族も大変ですよね・・・元気に大きくなられて良かったですね。  
by はる (2006-01-31 02:17) 

はるさんのいろいろな想いが詰まってるなぁって思いましたよw
そして10年w元気でいてくれること。うれしいですねwこれからも元気に立派になってくれることを願っていますw
by (2006-01-31 08:14) 

はるまきママ

泣いちゃったのね~。
どんなに自分が愛されているのか、感じてもらえたんですね。
きっと、もっともっと優しいお兄ちゃんになるんでしょうね。^^
この記事は宝物ですね。
by はるまきママ (2006-01-31 13:40) 

袋田の住職

今日は、姉の誕生日です。
二番目ということで、だいぶ助かっている部分もあり、
姉には感謝しています。
私も母とよく病院に行きました。
by 袋田の住職 (2006-01-31 14:38) 

moku_moku

元気に成長してくれる事だけが、願いですね。
親は反省ばかり、です。
by moku_moku (2006-02-01 00:16) 

ももず

私も赤ちゃんのとき医者に、草木で言えば枯れてますと
言われたそうですが。なんとかここまで成長しましたw
はるさんはだめ母なんかじゃないよw
3人も育ててえらいよ!
うちは子供いないから、ただただ3人の子に恵まれた
はるさんをうらやましいと思うだけです♪ 
健やかに成長してほしいとブログ仲間として見守っていきたいです。
by ももず (2006-02-02 12:18) 

はる

☆ふじかわさん  niceありがとうございます。
ありがとうございます。そう言ってもらえるとうれしいです。
これからまた10年って考えると~長いですが・・・10年を振り返ると短い。
立派に・・・なれるでしょうか?

☆はるまきママさん  niceありがとうございます。
そうなんです~いつもチェックされてるんですが~「ここ間違ってるよ」とか。
これは・・・泣いていました。愛されてるって思ってくれると嬉しいです。
いつも叱ってばかりなので~なんで僕だけいつも?・・・って思ってますから。
大人になるまで~覚えててくれると良いな~

☆袋田の住職さん  コメントありがとうございます。
1番目って~大変なんですよね、何かと。
2番目は~いろいろ~上を見てて要領良いですけど。

☆ばあんばんさん  niceありがとうございます。
そうなんです~いつも・・・反省ばかりです。
元気だったら~何にも要らない・・・とか言いつつ・・・
勉強しなさい!手伝いなさい!早く寝なさい!・・・などなど~反省。

☆ももずさん  niceありがとうございます。
小さい時体弱かったんですね、でも今はいろんな所に出かけて~色々経験されてて~すごいです!いろんな小物とかいつも感心しています、沢山出かけられる・・・余裕も~(私こそももずさんがうらやましいですよ~)
子供は見守ってくれる人が沢山居た方が良いと思うので~ももずさんも家の子たちの成長を~見守って、励まして下さい!(悪い事しない様に)

☆あの遠い夏の思い出さん  niceありがとうございます。
by はる (2006-02-02 23:01) 

nal

私は心配症なので、これから生まれ来る子供のことでも、色々と沢山いろんなことを考えます。でも、生まれてみないとわからないし健康で生まれ来るように祈る気持ちはどんな親でも同じ。Rクンの涙腺が塞がっててハリで目に穴を開けた日のことを思い出しちゃいました。
by nal (2006-02-03 17:13) 

はる

☆nalさん  niceありがとうございます。
いろんな事を考えて、心配して・・・みんな親ってこうなんですよね。
大きな事じゃなくても・・・大きくなるまでに本当にいろいろな事が起こりますよね・・・そうして子供も大きくなって~親も親として育てられて行くんだな~と。
自分がしてもらってる時には~気付かなかった事が沢山わかります。
by はる (2006-02-06 12:26) 

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